眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がってくることで不自由をきたす疾患です。軽度では見え方への影響はほとんどなく、なんとなくまぶたが開けづらい・まぶたが重いといった症状の方が多いですが、重度になると、垂れ下がったまぶたが眼に入ってくる光の通り道である瞳孔にかかることによって、上方の視野が暗く見づらく感じたり、視力自体も落ちてきたりします。また、まぶたが開きにくくなると、おでこの筋肉(前頭筋)を使ってなんとかまぶたを開けようとする方が多く、常におでこにしわが寄って眉毛が吊り上がった険しい表情になったり、筋肉の緊張状態が続くことで肩こりや頭痛の原因となってしまうこともあります。
眼瞼下垂の原因は、多くは加齢によるものです。加齢にともない、上まぶたを持ち上げる力が低下したり、上まぶた周囲の皮膚がたるんでくることで、徐々にまぶたが開きづらくなっていきます。そのほか、コンタクトレンズの長期間装用が原因の眼瞼下垂は、比較的年齢が若い方でも発症することがあります。頻度が高くはありませんが、まぶたを挙げる神経の麻痺によるものや、生まれつきのもの(先天性眼瞼下垂)もあります。
日帰り眼瞼下垂手術
眼瞼下垂手術は、局所麻酔でおこなうことができ、それほど時間がかかる手術ではありませんので、全国的にも日帰り手術で施行されることがほとんどです。
眼瞼下垂手術には、①たるんだ皮膚をとる手術(皮膚切除)、②緩んだ筋肉などを縫い縮める手術(眼瞼挙筋短縮やミュラー筋タッキングなど)、③おでこの筋肉とまぶたを連結させる手術(前頭筋吊り上げ)等があります。
当院では日帰り手術で主に①と②の手術をおこなっています。それぞれの患者様の状態に応じて術式を選択し、ときには術式を組み合わせるなどして、より良い結果が得られるよう工夫しています。どの術式でも傷口を縫合し、術後1週間で抜糸します。
また、術中・術後を通して痛みや腫れができるだけ少ない手術を心がけており、術後の腫れをなるべく減らすために、手術当日は手術部位をしっかり圧迫させていただきたいとの考えのもと、基本的には片眼ずつ手術をおこなっています。
眼瞼下垂手術のメリット
眼瞼下垂手術を行うと、下表のような効果が期待できます。
- まぶたを開きやすくなる
- 表情が明るくなる
- 上方の視野が明るくなり見やすくなる
- 頭痛や肩こりが解消することもある
など
日帰り眼瞼下垂手術の流れ
手術前
- 診察や検査で眼瞼下垂の状態や他の疾患の有無などを調べ、手術の適応を決定します。
- 手術の日程を決め、採血検査などの術前検査を実施します。
- 術式の選択と手術の詳しい説明をおこないます。
手術当日
- 予定時間の少し前にご来院いただき、手術の準備をしていきます。
- 専用手術室で手術をおこない、眼帯をして退室します。
(手術時間は15~30分程度、消毒などを含めても入室~退室まで25~40分程度です) - 手術終了後はリカバリー室で30分ほど休憩していただき血圧などを確認します。
- 眼帯のままお帰りいただきます。(片眼ですので車の運転は控えてください)
- 眼帯は翌日の診察まで外さず、安静にお過ごしください。
手術後
- 手術翌日にご来院いただき、眼帯を外して診察があります。
- 翌日から術後の軟膏などが開始となりますので、指示通りにしっかり使用してください。
- 術後1週間で抜糸します。
- その後の診察スケジュールについても術前にご説明します。
(術後の状況によっては予定のスケジュールとは異なる場合もあります)
注意点について
眼瞼下垂手術を行った当日も通常の生活で構いませんが、激しい運動は控えてください。洗顔や洗髪、シャワーなどは、原則として手術翌日から可能ですが、傷口がありますのでそっと洗うようにして、なるべく清潔に気を付けてください。また、まぶたを切ったり縫ったりする手術ですので、個人差はありますが、手術後に少なからずまぶたの腫れや皮下出血が起こります。術直後は少し腫れなどが目立つこともありますが、通常は1週間ほどで治まります。術後の痛みはそれほどない方が多く、あっても数日で落ち着くことがほとんどですが、痛み止めも処方しますので痛みがある際は適宜内服してください。